院長コラム

【2017.11】ブリッジからインプラントへ

 

歯が抜けてしまった場合、昔はとくに迷うことなくブリッジをされる方がほとんどだったと思うのですが、最近はブリッジよりもインプラントを選択する方が増えています。長年、ブリッジをされていた方も、インプラントにしてほしいということで来院される方も珍しくありません。

 

ブリッジは失った歯をとりあえず補完するという意味では手軽な治療なのですが、将来的なことを考えるといろいろな支障が生じてくることを患者さまがよく理解されるようになってきたのだと思います。

 

ブリッジでは連結歯(かぶせもの)をするために、欠損部分の両隣(または片側だけ)の歯を削ります。健康な歯を削ってしまうことに抵抗がある患者さまも多いのですが、実はそれだけではありません。このときに歯髄の中の神経などを取り除いてしまうことが多いのです。歯の表面を削ると知覚過敏のようになって、歯がしみると訴える患者さまが多いので、最初から神経等を除去してしまうドクターが多いのです。

 

むし歯の治療などで経験がある方も多いと思いますが、こうした根管治療(歯内療法)によって神経や血管などを取り除いてしまった歯は、栄養などが行き届かなくなるため、弾力が失われ、細菌に対する抵抗力も弱まり、結局、歯の寿命が短くなってしまいます。いわば枯れ木のような状態といってよく、もろくなって歯にひびが入ったり、割れてしまったりして一生、使うことは難しくなります。

 

ブリッジの寿命は統計的には約7年といわれていますが、その原因には支えている歯が割れたり、ヒビが入るなど外傷性のトラブルによってだめになるケースも多いのです。欠損部にインプラントを入れることは周囲の天然歯の負担を軽くすることができるので外傷性のトラブルを防ぎ、歯の寿命を伸ばすことにつながります。

 

このようにインプラントであれば、歯を削らなくてすむだけではなく、周囲の歯を守ることにつながります。歯を欠損したことはマイナスですが、インプラントをすることにより、歯列全体を守るというプラスの方向へと転換することができるといえます。

 

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